【メッセージ】バッハコンクール開催に当たって:石井なをみ(バッハコンクール実行委員会委員長)
2013年10月3日木曜日バッハコンクールのコンセプト
以前、ある先生から「セミナーを聞いても、本を読んで勉強しても、それを実践する場がないと、具体的な理解や上達に結びつかない。コンクールが一番手っ取り早く勉強できる。」とアドバイスを受けたことがあります。
まさにその通りだと思い、実行したのが、バッハコンクールです。
「先生方、生徒さん達、皆さん一緒に勉強しましょう」というコンセプトで、このコンクールを立ち上げました。コンクールといえば、結果ばかりを気にしてしまいがちですが、競い合いの場として優劣にとらわれるのではなく、どのように弾けば良いのか、色々な可能性を勉強・研究する場であって欲しいとの願いから、地区大会から全国大会への通過率は約50パーセントとしております。
音楽の基礎を学び創造に繋げる
では、なぜバッハ、バロックなのでしょうか?
バロック時代の音楽は、右がメロディー・左が伴奏という音楽ではなく、ある時は右手、ある時は左手が主役というポリフォニー(多声)音楽です。
バッハ・インベンションは2声なので、ある時はご主人が、ある時は奥様が主役。シンフォニアで3声になると、子どもができて、ある時はお父さんが、ある時はお母さんが、ある時は子どもが主役です。昔の日本の家族のように、いつもお父さんが主役というわけではありません。
立体的に和声的に縦の響きをとらえて、音楽の横の流れも構築的に作っていく勉強ができると思います。それが音楽の基礎になると思うのです。
同時に時代のスタイルも勉強できます。当時はまだ今のようなピアノではなく、チェンバロが主流でした。それを今のピアノでどう弾くのか。様々なアプローチがあると考えられますが、それには許容範囲があるかと思います。たとえば、細かいCresc.をつけてうねるような弾き方は、当時の楽器ではできませんから、強弱法は小中大の階段方式のテラスダイナミックが適切かと思われます。
ショパンやシューマン達もバッハを研究しました。「スクリャービンの中にもバッハが見える」という言葉を、アンドール・フォルディッシュ著の本で読みました。
音楽の基礎となるBach(バロック)を皆さんで楽しく勉強でしましょう。インベンション・シンフォニアも楽譜を読み解いて弾く楽しさを体感して欲しいと願っております。
神戸女学院中高部を経て神戸女学院大学音楽学部(ピアノ科)卒業。同研究生修了。国際ロータリー財団奨学生としてザルツブルグ・モーツァルテウム音楽大学大学院演奏家コースに入学。同校修了。徳末悦子、井澤利、故井上直幸、ハンス・ライグラフ、イングリット・ヘブラーの諸氏に師事。ピティナ・ピアノコンペティション全国決勝大会、ショパン国際コンクールin ASIA、日本クラシック音楽コンクール全国大会、ヤマハヤングピアニストコンサート、兵庫県学生ピアノコンクール、グレンツェンピアノコンクール等審査員。2001年全日本ピアノ指導者協会「トヨタ賞」2011年「特別指導者賞」、2001年より「ピティナ指導者賞」を連続受賞、2005年より日本クラシック音楽コンクール「優秀指導者賞」を連続受賞。各種コンクールにおいて全国1位をはじめ毎年多数の入賞者を輩出。東京芸大、京都芸大、愛知県立芸大、沖縄県立芸大、大阪教育大、その他私立音楽大学等にも毎年多数の合格者を輩出。全国各地にて公開レッスン及びセミナーを展開中。社団法人 全日本ピアノ指導者協会(略称ピティナ)評議員。1985年より兵庫県立西宮高等学校音楽科非常勤講師、2009年より神戸山手女子高等学校音楽科非常勤講師も兼ねる。